社長取材企画

アマミノクロウサギにクローズアップ 2

鹿児島市平川動物公園では保護飼育だけではなく、
アマミノクロウサギに関連する研究にも随時協力しています!

アマミノクロウサギ
●種の運び屋を担う
今年の1月に神戸大学が奄美群島に生息する固有種「ヤクシマツチトリモチ」というヘンテコな植物の種子を運搬する「運び屋」として活躍することを発表しました。この植物は光合成をやめて、ほかの植物の根に寄生し、見た目がまるで真っ赤なキノコという点でヘンテコなのです。
この研究にも鹿児島市平川動物公園のアマミノクロウサギたちが協力しました。研究者がヤクシマツチトリモチを持参して給餌したところ、4羽とも好みが異なるのにも関わらずほぼ完食したとのことです!奄美大島では食痕が多くみられることから、きっとアマミノクロウサギにとってはおいしい食べ物なのではないかと考えられます。しかしながら人が食べると土の味らしいです…。
詳しくはこちら:神戸大学研究ニュース
生息数が近年増加していることは喜ばしいことではありますが、いくつか問題も生じています。農家さんが栽培しているおいしい農作物を食べてしまったり、好みの草を食べに一般の生活道路付近に出てきてしまうとのことです。
これらの問題は、どのように人とアマミノクロウサギが上手にかかわっていけば良いか、保護飼育をしている鹿児島市平川動物公園にお話を伺いました👀
鹿児島市平川動物公園の方等とやまちゃん
●農作物の保護
近年生息数が徐々に戻りつつある中で、タンカンの樹皮をはじめとする農作物の食害が報告されるようになりました。人とアマミノクロウサギが上手に共生するために、保護飼育されているアマミノクロウサギたちは作物を守る為のフェンス開発の研究にも協力しています。
意外な一面として、フェンスを軽々飛び越えていくのかと思いきや…アマミノクロウサギはよじ登ることができるといいます!撮影ビデオを確認した時には、予想外の行動にかなり驚いたとのことです。
アマミノクロウサギがよじ登ったとされるフェンス
よじ登る際には、太く短い手足や丈夫な爪を器用に使うとのことです!
他のノウサギ属やアナウサギ属では考えつかない行動ですね👀
このような保護飼育個体の研究協力により、アマミノクロウサギによる食害を防ぎ、平和に共生するための「忍び返し付フェンス」の開発が進んでいます。
●アマミノクロウサギを脅かす脅威
本来の天敵以外で、アマミノクロウサギを脅かす脅威は大きく分けて2つあります。肉食動物による外傷(咬傷)と交通事故です。
咬傷による外傷
野ネコや野イヌに襲われて、咬傷を負うことが多いとのことです。
中には野生化したペットの排泄物が一因とも考えられる「トキソプラズマ症」に感染しているアマミノクロウサギが発見された報告もあります。これは寄生虫による感染症で、感染しているネコやイヌの便中に感染可能な寄生虫が排泄され、その便や汚染された土壌を摂取することにより感染します。
程度にもよりますが、咬傷は適切な治療により回復ができれば野生復帰も視野に入るとのことです。実際に鹿児島市平川動物公園でも野ネコに咬まれたネセブ君が、環境省の判断により2017年に野生復帰しています。
本来生息しない動物が野生化することは、その土地の生態系のバランスが崩れてしまう一因となります。ペットを家族としてお迎えする際には、適切な飼養に努めるよう飼い主様にはご協力いただきたいです!
飼い主様との3つのお約束!
  1. ペットをお迎えしたら
    最期まで一緒に過ごそう!
  2. 外出するときには
    必ずハーネスや胴輪をつけよう!
  3. 室内飼育を基本とし、
    中途半端に野良や半野良にさせない!
飼い主様の一人一人の小さな協力により、アマミノクロウサギやそのほかの野生動物の生態系が守られることへ繋がります。
交通事故
観察用道路だけではなく、最近は一般の生活道路にも出没する個体が増えてきているとのことです。道路脇には日光を良くあびた好みの草が生えていることが多く、これが彼らの目的物です。道路周辺は開けていることから、キョロキョロしながらのんびりと食べにきます👀
お腹が空いているアマミノクロウサギ
活動が活発になるのは、夕方から夜明けまでの夜間になります。道路のアスファルトが黒く、アマミノクロウサギも黒い。そのため、そこにいたとしても…「全く見えない」!!!さらにはノウサギよりも警戒心が少ないようで、道路に出てきて立ち止まってぼーっとしていることもしばしばあるとのことです。
ぼーっとしているアマミノクロウサギ
交通事故は命を落とす可能性が高いだけではなく、事故により野生復帰が厳しくなることも多いです。手足の骨折の場合には治療して、歩行に問題がなければ野生復帰も視野に入る可能性があります。しかし顎を骨折してしまうと、「不正咬合」という病気に繋がることが多いとのことです。歯が生涯伸び続けるうさぎさんにとって歯並びや噛み合わせが悪くなる不正咬合は、生涯定期的な治療が必要となる場合が多く、野生復帰が難しくなってしまいます。
不正咬合で切歯が見えているアマミノクロウサギ
そのため奄美大島や徳之島へ観光に行かれる方は、運転に十分に注意して観光を楽しみましょう!
    運転で気をつけよう!3つのポイント!
  1. スピード尊守!
  2. 動物が急に飛び出してくるかもしれないという心構え!
  3. 目を凝らして前をしっかり見て運転!
●最後に一言
野生動物と人が共生するには様々なルールを守りながら生活する必要があります。
少し難いお話になりましたが、ペットのうさぎさんだけではなく日本固有種である原始的なうさぎさん「アマミノクロウサギ」にも興味・関心を持ってもらえると嬉しいです!
【鹿児島市平川動物公園】
取材にご協力いただき、ありがとうございました! ぜひ動物園の動物を見に鹿児島市平川動物公園へ遊びにいってみてくださいね♪
*アマミノクロウサギは一般公開されていませんので、予めご了承ください。
詳しくはこちら➡https://hirakawazoo.jp/